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隠匿シリーズ☆番外編
第6章 彼の忘れられない人は……?




「私もよく解らないんですが……そうだわ、きっとレオに逢いに来たのよ」


「レオナルド様にですか。ではレオナルド様とお知り合いなんですね」


「あの……? 本当に私のこと解らないんですか?」


 衛兵はアリエッタがレオの妻ということは知っている。なのに知り合いかどうか尋ねると、ますます訝しげな眼差しを送られる。


 そんなにも特徴のない顔なのだろうか、それとも何度も言葉を交わしていてもすぐ忘れ去られてしまうくらい影が薄いのだろうか。


 だが今まではこんなふうに止められたり、アリエッタを認識しない素振りなどされたことはなく、どうにもこの状況がおかしく思えてならない。


「私です。レオの妻のアリエッタです」


 ここまで言えば、彼も思い出してくれるだろうと思ったが、みるみると彼の顔色が険しくなる。


「レオナルド様の妻ですって!? なにを不届きなことを! おい、この女、どうもおかしいぞ!」


 彼はそう言って、門に立つもう一人の衛兵を呼び、アリエッタを捕えようとするではないか。


「ま、待って! どういうこと? 本当に私が解らないの? 何度も逢ったじゃない」


 慌ててアリエッタが彼らに訴えてみても、まったく取り合ってもらえない。それどころか手首を捻り上げられそうになる。


 と、そこへ一台の馬車が王城の門を潜ろうとし、アリエッタたちの横で緩やかに足を止めた。





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