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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に



 レオは考え込み、ややあってから口を開く。


「それについてはジョシュアと再度話し合い、追って通達する」


「え……じゃあ、取り消しってこともあったりするんですか?」


 ディランは不安げに瞳を揺らす。その様子が可笑しいのか、レオはわざと何も答えず肩を竦めるだけだ。


 するとディランはますます消沈する。


 項垂れていたディランは突然机に手をついて、妙に迫力のある顔をレオに向ける。


「……で、では、もし取り消される事態になったらでいいのですが、ひとつだけ褒美を戴きたいです」


「ディラン! あなたという人は……!」


「まぁ待て、ジョシュア。……取り消し云々は置いておくとして、ディランは初仕事にしてはよくやった。褒美くらいくれてやってもいいだろ」


「レオ様……」


 使用人が主人に褒美を乞うなんて言語道断。だがレオが了承するならば、口を噤むしかない。


「ディラン、なにが望みだ? 給与の増額か? それとも宝石か?」


「いいえ! お給金は充分すぎるほど戴いておりますし、宝石もさほど興味がなくて……」


「ならなにが欲しいんだ」


「なんでも宜しいんですか?」


「言うだけ言ってみろ。叶えられるものなら叶えてやるから」


 二人のやり取りを聞いていて、ジョシュアは口を挟みたくなるのをぐっと堪える。レオは周囲の者に甘くなるきらいがある。彼の美点ではあるが、つけあがらせてはのちのち大変なことになり兼ねないのだ。






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