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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に




「申し訳ありません。でも……これでもう被害者は出ませんよね?」


 ディランは身体を小さくしながらも、控え目に訊ねる。


「はぁ……ったく。ああ、そうだ。お前の働きのお蔭で、最悪の事態は招かずに済むだろう」


「よ……よかった!」


「安心するのはまだ早いぞ。ここからが大変なんだ。どうせ奴ら、しらばくれるに決まってる。それに他にも関与している者を吐かせなきゃならない。まだまだ働いてもらうぞ」


「は、はい! もちろんです! レオ様のお役に立てるのでしたら、精根の最後の一滴まで搾り取られても構いません!」


 帰ってきたばかりだというのに、ディランは疲れを一切見せずにやる気に満ち溢れた表情だ。


 レオはジョシュアを振り仰ぎ、困ったように笑う。


「まぁ、今日のところは休め。ご苦労だった」


「はい……」


「どうした? まだ報告漏れでもあるのか?」


「いえ、そうではなくて。その……昇格の件は……?」


「ディラン。はしたないですよ」


 自ら伺いを立てるディランにジョシュアが叱責の声を飛ばす。


 それでもディランは引かず、訴えるような眼差しをレオに投げていた。





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