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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔



 けれど恩人には違いなく、キッシュはレオに立ち去るよう促す。


「この村は見張られてる。見付かる前に早く他の場所に行ったほうがいいよ」


「みたいだな。入るときも苦労したよ」


 レオはなんでもないことのように気軽に言う。気軽なのはいずれ去るからだ。ここで生涯を終えていく者にとって、村がどれだけ地獄そのものか知らないのだ。


「とにかく早く出てって! あんたみたいな人がいるところじゃないんだ!」


「入るのも出るのも俺が決める。それよりお前……えーっと名前は?」


「僕の話聞いてる!? とっととここから出ていけよ!」


「わかった、わかった。そのうちな。で、名前は? 名乗らないなら適当に呼ぶぞ。そうだな……泣き虫くん? 鼻垂れ小僧? あとは……」


「キッシュだよ!」


 泣いていたことを揶揄され、キッシュは思わず叫ぶ。するとレオは満足げに頷く。


「キッシュか。ならキッシュ。歩けそうなら村を案内してくれ。来たばかりでまだ見て回れてないんだ」


「なんで僕がそんなことしなきゃならないの!?」


「パン食ったろ? ハムも。一食の礼くらいしてくれてもいいんじゃないか」


 頼んだわけでもないのに恩着せがましく言われ。けれど拒絶すればこの男はキッシュを肩に担ぎ、そのまま家から出ようとし。


 そんなみっともない格好で外を歩かれては堪らないと、従わざるを得なくなった。






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