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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔



 荒れた村を見て回ってなにが面白いのだろうか。開いている店だって品物は少なく、その殆どが古びていたり、萎びていたりで使い物になるのがありやしない。


 レオをふと見上げると、酷く不快そうな、険しい表情をしていた。


「……昔は上質な作物が採れる村だったと記憶してる。いつからこんなことに……?」


 静かに問うレオは、さっきまでの軽薄さはない。彼から感じる滾る怒りに、キッシュは背筋に冷たいものが走った。


「り、領主が代わってからだよ……」


「そうか……」


 琥珀の双眸に妖しい光を宿す彼に怯えつつ答えると、無言で彼はキッシュの頭に手を置いた。


 よく耐えてきたな、と言われた気がした。どうしてそう思ったのか解らない。レオはただの旅人で、慰めてもらっても一時しのぎすらならないのに。


 道ばたで項垂れる人、腐敗した屍。生きてる人も生気はなく、見知らぬレオと擦れ違っても気にも留めない。


 こんな地獄で慰めがなんの役に立つというのか。それもこんな怪しげな男からされても、嘲笑すら出ない。


 なのにキッシュはどうして大人しくレオの隣を歩いているのだろう。


 学なんてものはなく、上手く言い表せない感情を伴い。


 苛立つのに、置かれる手を振り払いたいのに、なぜか出来ない。


 また泣きそうになっているのを見られたくないからだと言い訳し、キッシュは尚もレオの隣を歩いた。







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