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あなたの面影
第8章 一仁の愛し方
土曜日の夕方というのは一週間で最も穏やかで楽しい空気が流れているのが一般的だ。

しかし今ここに流れているのはそんな気配など微塵もない気まずい緊迫だけ……

昼間にデートした水族館の話題でもしていれば、仮初めだとしても和やかな空気が流れていたんだろうけど。
けどこれ以上問題を先伸ばしして一時の安らぎに浸かっているのは自分自身許せなかった。

「つまりは俺に抱かれてるときも聡志に抱かれていることを想像していた、ということだな?」

一仁さんは無表情を保ちながら、先程の私の発言を静かに確認してくる。

「…………ごめんなさい」

謝ることしか出来なかった。
とても失礼なことだし、許されるとは思っていない。

「そうやってなんでも謝って完結させて、殻に閉じ籠ろうとするなよ」
「けどっ……失礼なことだから……」

はぁ、と彼のため息が漏れる。
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