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第9章 危険な罠

彼らのうち誰かに持病でもあり、その薬と言う可能性だってありうる。
しかし状況から考えてそんな平和的な思考にはならなかった。

「帰るよ、玲香ちゃん!!」

青ざめながら彼女の手首を掴んで引っ張った。

「ちょっ!?　離せよ!!」
「いいから!!　こっちへ来なさい!!」

こんなところにいてはいけない。
懸命に彼女の手を引いた。

「おい、おばさん。玲香嫌がってんだろ？」

無数のピアスを着けた薄気味悪い男が鋭い視線で睨んできた。
男たちの視線は正気を失った狂者のように澱んでいるように感じる。
個室とはいえ窓があり、そこからフロアーが見える構造になっている。
何かあっても外から見えると安心したのも束の間。
坊主頭の方が立ち上がりブラインドを閉めてしまった。