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あなたの面影
第11章 『あなた』
恐る恐るドアを開けると寝顔の聡志が魘されていた。
よほど怖い夢を見ているのか眉を歪め、聞き取れない何かを呟いている。

「聡志っ……」

彼の空白の三年を私は知らない。
しかしそれがどれだけ辛酸を舐めるようなものだったのかは想像がつく。
あんなに明るくて優しかった聡志をここまで追い詰めたもの。
それが憎かった。

そっと伸ばした手が彼の頬に近付く。
だけど指先は震えていた。
あんなに触れたいと願っていた彼に、触れるのが怖い。

突如聡志が目を開き、私の手を強く握った。

「きゃっ!?」

彼の目は怯えと怒りが入り交じっていた。

「あっ……ごめん」

しかしそれは見間違いかと思うほどすぐに消え、彼はすぐに私の手を離した。

「ちょっと……嫌な夢を見てて……」

きっと私の気配を恐ろしいなにかと勘違いしたのだろう……
そう思うと憐憫の念が胸に迫った。

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