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第5章 復讐

「これから、僕が10数えます。数が1つ進む毎に、アキの心は深いところに降りていきます」
「…数…深い…ところ…」
「そうです。数が進む毎に、瞼が重たくなり、閉じていきます。同時に身体から力がスーっと抜けていきます」
「…瞼…閉じる…力…抜ける…」
「そして、頭の中の白い靄がどんどん濃くなって、何も考えられなくなります」
「…頭の…中…何も…考えられない…」

「さあ、数えますよ。1…アキの瞼が少し重たくなってきました。身体からも力がスーっと抜けていきます」
アキの瞼がピクピク動き始める。

「2…アキの瞼がどんどん重たくなってきます。どんどん重たくなって、ゆっくりと下がっていきます」
アキの瞼が閉じていく。

「3…瞼が、ゆっくりと閉じていきます。ピタァっと閉じて開かなくなります」
アキの瞼が完全に閉じる。

「4…アキの身体から、スーっと力が抜けていきます。力が抜けて、身体を支えることができなくなります」
アキの肩が落ち、身体から力が抜けるのが判る。

「5…アキの身体は深いところに降りていきます」
神内は、アキの身体を支えながら、後ろに倒していき床に仰向けに寝かせる。

「6…アキの心も、深いところに降りていきます。どんどん、どんどん降りていきます。リラックスして、降りて行きましょう」
アキの眼球が瞼の下で激しく動き催眠状態に入った事を示す。

「7…アキの心は、深いところにどんどん降りていきます。8…降りていきます。どんどん深いところに降りていきます。9…もうすぐ、底に着きます。アキの心は一番深いところに着きます。10…さあ、着きました。アキの心は一番深いところに着きました。真っ暗ですね。何も見えません。何も聞こえません。でも、僕の声だけは、ハッキリと聞こえます」

アキは弛緩した状態で横たわっているが、閉じた瞼の下の眼球は激しく動いている。