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非モテ連合国
第5章 友
田中は相変わらず非生産的で自堕落な生活を送っていた。

ベッドに寝転がり、魚肉ソーセージにかぶりつきながら生気のない眼で天井を見上げている。

死を選んだほうがマシなのに、死は嫌だという典型的クズぶり。

彼はもう人生の公害と化していた。

(母さん……父さん……ごめんな……おれ無理だわ……孫の顔も見せらんねぇな……堪忍な……)

その時、扉がノックされた。

その音により蘇生した彼は、ぐずくずだらだらと玄関に向かう。

ドアスコープを覗くとそこには懐かしい顔が映っていた。

田中は生気を幾ばくか取り戻してドアを開ける。

「高橋」

「おう、久しぶりだな田中」

他県に就職している、数少ない友人の1人である高橋であった。

田中は、高橋に少し待ってもらい散らかった部屋を少し片付け、呼び入れる。

「どうした? 5年ぶりじゃないか」

「…………実は仕事辞めたんだよ」

「え? なぜ?」

「…………女だ……」

「あ?」

「職場の女にキモがられ、辞めてきた……」

胸がざわつく田中。

女というワードに敏感に反応して心を締め付けられていた。

更には親友がそれに嫌悪されたという事実に魂をも痛み出す。

「女友達を作ろうと話しかけたら……童貞極まりない言動をしてしまい……気味悪がられた……それからはずっと悪口、村八分……あんまりだろ……俺はただ女気なしの生活が嫌で勇気を振り絞ったのに……結果は無より酷い……」

田中は泣いていた。

ボロボロと。

「っで、1年耐えたけど結局辞めた……居づらくなった……」

「……ぐっ!」

拳を握りしめてカ○ジみたいに泣く田中。

(なんだよ……なんなんだよ……俺は……俺たちは……女と関われない呪いでもかけられてるのか……? 似たもんどうしだよな……こいつも俺みたいに……)

「……作る」

「え?」

「作るんだよ……田中」

己の思考で高橋の言葉が聞こえなかった田中は聞き返す。

「なにを作るってんだ?」

「だから言ってんだろ……彼女を作る……悔しいから……」

「はあ?」

「俺は悔しいから彼女を作る!!」

田中は胸、いや心、いやいや魂を打たれた。

自分より情けないと思っていた高橋が奮起したのだ。

その輝きを感じとる。
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