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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》
 泉水が考えに沈んでいると、夢五郎の声が耳を打った。
「な、姐さん、夢見(ゆめみ)鳥(どり)って、聞いたことがあるか?」
 夢五郎は庭の方に視線を投げている。その視線の先を追いかけてゆくと、一羽の蝶がひらひらと桜花(はな)と戯れていた。
「いいえ、初めて聞きました」
 泉水がかぶりを振る。夢五郎はなおも蝶を眼で追っている。
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