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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》
唐突に夢五郎が口を開いた。
「不思議だろう? そんな風流な名前を聞きゃア、あの蝶に導かれて行った先には本当に夢が待っていそうな、そんな気になる。何の根拠もないのに、明るい気持ちになれるような気が私はするんだ。姐さんも夢を見たら良いのさ。私は夢札を売ってるが、夢札に描かれている絵だって、何とおりもの未来(さき)を暗示してるんだぜ。その人その人の理解のしようによっちゃア、色んな理解の仕方ができるからな」