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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章  《其の弐》 
「このように声を出して笑うたのは、ほんに久しぶりのような気がいたします」
 弥子が笑いをおさめ、真顔になると、嗣道もまた頷いた。
 この男と共にいると、心から安らげる。今も弥子が傷心なのを知っていて、わざと気を引き立てようとしてくれている。常ならば口にもせぬような戯れ言を口にするのも、この不器用な男なりの優しさであった。
 だが、嗣道とも明日の朝には別れなければならない。弥子の心に言いしれぬ感情が渦巻く。淋しさという名の風が吹き抜ける。
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