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第61章 　《其の弐》　

　槙野の屋敷で暮らすようになって数日が過ぎた。弥子の脳裡には別れ際に郁奈が見せた泣き顔がちらついて離れない。
　何をしていても、子どもたちは今頃、どうしているだろうか。また母を慕って泣いてはいまいかと気になってしまう。
　こんな有り様では、ご奉公に差し障りがあると自らを戒めても、どうしようもなかった。
　そんなある朝のことだ。