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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章  《其の弐》 
「まあ、流石はお乳母どの。あんなにお泣きになっていた姫さまがほれ、このように嘘みたいに泣き止まれて」
 腰元は半ば呆れたような、感心したような口調であった。
 そんな腰元には頓着せず、弥子はいとけない姫君を抱き上げ、頬ずりする。
 と、姫が微かに笑った。
 涙を一杯に溜めた黒い瞳はつぶらで、黒い玻璃のように澄んでいる。まだ眼に涙を滲ませたままで笑う赤児の表情があまりにも愛おしくて、弥子は再び涙ぐんだ。
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