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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 お京は〝町子〟というたいそうな名を名乗り、華やかな祝言まで挙げて晴れて壱之進の妻の座に納まった。もちろん、生まれた子も共に屋敷に迎えられた。赤児は生後二ヵ月になったばかりで、男の子だった。
 美咲の許に離縁状が届いてから、漸くひと月経ったばかりのことであった。
―許さぬ。
 美咲の心に怒りと憎悪の焔がひときわ烈しく燃え上がった。
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