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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
美咲は脳裡に、その様子を思い描いてみる。薄紅色のたおやかな花が一面にこの池の面を埋め尽くしている―、まさに眼の醒めるような、この世の浄土のような光景だろう。
ふと空を仰ぐと、わずかに紫がかった空に、白っぽくなった月が朧に浮かんでいた。重なり合った雲間から、ひとすじの光が差し始める。今日、最初の光であった。やがて生まれたばかりの太陽が顔を出し、空はまた、燃えるような朱(あけ)の色に染まり、辛うじて見える十三夜の月も見えなくなるだろう。
ふと空を仰ぐと、わずかに紫がかった空に、白っぽくなった月が朧に浮かんでいた。重なり合った雲間から、ひとすじの光が差し始める。今日、最初の光であった。やがて生まれたばかりの太陽が顔を出し、空はまた、燃えるような朱(あけ)の色に染まり、辛うじて見える十三夜の月も見えなくなるだろう。