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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 その逞しい筋肉のついた身体を背中から思わず息を呑んで見つめていると、視線に気付いたのか、男がつと振り向いた。
 男は昨日の夕刻、美咲が村中で通りすがりに出逢った若者だった。美咲を見た男の面に軽い愕きがひろがる。
「良かった。昨夜はあれから、どうしなすったかと、ずっと心配していたんでさあ。どこか宿を貸してくれるところがあったかい」
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