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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
 いかほど眠ったのだろう。
 長い、長い夢を見ていたような気がする。
 その間、ずうっと怖い夢の中を彷徨っていた。暗闇の中をずっと果てなく一人で歩いていく。いくら歩いても歩いても、泉水の周囲には無限の闇がひろがるばかりだった。
 呼び声が遠くから聞こえてくる。誰だろう、深くて抑揚のある魅惑的な声。泉水の聞き慣れた、大好きな声だ。
 戻らなければ、あの声の人の許に帰らなければならない。伝えなければならない。私はここにいる、この場所にいると。
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