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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
 誠吉の口調には気遣うような響きがこもっている。泉水は溢れ出した涙が余計に止まらなくなった。
「ありがとうございます」
 それだけ言うのが精一杯であった。
 誠吉が首をひねった。
「さて、お前の名前が判らねえとすると、ちと不便だな。どうだ、おさよって呼んでも良いか?」
 突然言われ、泉水は眼をまたたいた。
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