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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
「おさよ、ですか?」
「俺の幼なじみの名前なんだ」
 誠吉は顎を引き、少し後で付け加えた。
「もっとも、そいつはもう亡くなっちまったけどよ」
 泉水は何も言えなかった。そう言ったときの誠吉の顔はひどく淋しげだったからだ。
「それとも、もう死んじまった人間の名前なんて、嫌か?」
 その問いに、泉水は首を振った。
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