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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「なあ、おさよ。俺はお前がどこの誰でも構わねえと思ってるんだ。そりゃア、自分がどこの誰だって判らねえっていうのは辛いだろうとは思うが、お前さえ良ければ、俺はお前にずっとここに居て貰っても良いと思ってる。お前はよくやってくれるし、俺は大助かりで、安心して仕事に打ち込めるんだ。かえって感謝してるくれえなんだぜ」
 心からの言葉であることは判る。その優しさも気遣いも身に滲みた。
 でも、何かが違う。
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