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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 誠吉が嬉しげに口にする〝おさよ〟という名を聞く度、泉水は違和感を憶えるのだ。日に何度となく呼ばれても一向に馴染めない名前は、まるで着慣れぬ着物を身に纏っているようで、しっくりこない。
 その時、開け放したままの腰高障子から顔を覗かせた男がいた。
「誠吉、いるか?」
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