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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「お前はどうしても、〝おさよ〟のままでいるのは嫌なんだな」
「誠吉さんにとって、おさよさんって、大切な人だったんですね」
 ごく自然に言葉が零れ出た。
 誠吉は頬を緩めた。
「ああ、大切な女だった」
 その眼は泉水を見ているようで、見てはいない。
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