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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
 着ている羽織や袴からもこの若い侍が相当の立場にいるとは知れたが、相手は丁重な物言いで話しかけてきた。その態度にはいささかの傲岸さもない。
「へえ。確かにあっしは錺職の誠吉と申しやすが」
 とりあえずは頷くと、男は居住まいを正した。
「こちらに泉水という若い女がいると存ずるが」
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