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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
 ただ、いつもなら、ここまで無理に思い出そうとすると決まって頭が痛み出すのに、今夜は何も起きなかった。
 何かが、何かが違ってきているような気がする。待ち続けていたものがすぐそこまで来ているような予感がする。
 それなのに、あと一歩というところで、手が届かない。
 泉水がうつむいて涙をこらえていると、誠吉が静かに言った。
「あまり無理をするな。また、具合が悪くなっちまうぞ」
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