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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
 泉水は眼を瞑り、しばらく考えた。
 いや、返事は最初から決まっていたのではないか。その応えから泉水自身が眼を背けていただけにすぎない。生命の恩人であり、兄のように慕わしさを感じていた誠吉を落胆させるような返事しかできないことを後ろめたく思って、返事を先延ばしにしていただけ。 泉水の中で、応えはもうとっくに出ていた。 
 泉水は眼を開き、誠吉を真っすぐ見つめた。
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