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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
「俺はお前の兄さんなんかじゃねえ」
 乾いた声が震えている。
 泉水は涙の滲んだ眼で誠吉を見た。怒りと屈辱で赤黒く染まった顔は、普段の穏やかな誠吉とは違う人のようだ。
 怖かった、誠吉が無性に怖かった。
 怯えた眼で見上げる泉水に、誠吉が心もち声をやわらげた。
「なあ、お前は俺のことをどう思ってるんだ?」
 暗い情熱を宿した瞳で見つめられ、泉水は視線を逸らした。
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