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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
「おさよッ、待て、待ってくれ」
 誠吉の呼び声が聞こえていたけれど、泉水は構わずに三和土に飛び降り、腰高障子を開けた。
「おさよ、行くな」
 誠吉の声を背に、泉水は裸足であることも厭わず、外に走り出た。
 涙が止まらなかった。生命を救ってくれた誠吉、優しい男気のある男だと心から信じていた。その誠吉にまさか手込めにされそうになるとは考えだにしなかったのだ。
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