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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
泰雅もまた、その間のことについては何も訊ねようとしない。仮にも良人を持つ女が他の男と一つ屋根の下でひと月もの間共に暮らしたのだ。泰雅の立場からすれば疑おうと思えばいくらでも疑えるはずではあった。現に、家臣たちの中には、泉水と誠吉の仲を勘ぐる者もいたのである。が、泰雅は泉水を心底から信じているようであった。泉水は、そんな泰雅の態度に、潔い男らしさを見たような気がして、泰雅という男の新たな一面を知った。