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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
「よしよし、良い子ね」
 泉水は自分もしゃがみ込んで、甘えてくる犬の頭を撫でてやりながら、男の子に言った。
「あなたも良い子ですぐに泣き止んだから、この子も大人しくなったのよ」
 笑って言い、残りの半分のかすていらを子どもに握らせた。
「うちは、この近くなの?」
 子どもは元気よく頷いた。
「うん、甚平店に住んでるんだ」
 甚平店であれば、このすぐ近くの長屋だ。子どもの脚でも知れている。
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