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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 心優しい少年だった。病がちで、しばしば床に伏すこともあったというが、微塵も暗い翳りはなく、むしろ、己れの弱さを弱さとして認め、その上で強くなろう、弱さを克服しようと努力していた。
 そんな祐次郎に、泉水は淡い好意を抱き始めていた。その矢先、祐次郎は突然、泉水の前から姿を消した。そう、二人だけで咲き誇る椿を見た一年後、祐次郎は死神に二度と帰れぬ遠い場所へと連れてゆかれてしまった。まだ十四歳だった。
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