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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 突如として鳴り響いた雷鳴に怯える泉水を、祐次郎は優しく抱きしめてくれた。
―姫、私はいつか槙野の家に相応しき、立派な男子になりたいと存じます。
―私は今の、そのままの姫が好きです。だから、ずっと今のままで変わらないで下さいませんか。―たとえ、私の妻になっても。
 少しはにかんだような顔で告げた祐次郎の表情の一つ一つまでもが眼裏にありありと蘇る。
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