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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
「大事はござりませぬか」
「ああ、何のこれしき、傷の中にも入らぬ。これも脇坂が大騒ぎして、このように大仰にしてしもうたまでのことよ。単なるかすり傷だ、ほら」
 そう言って勢いよく右腕を動かそうとして、泰雅が小さく呻いて顔をしかめる。
「お痛みになるのですか?」
「あ、ああ」
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