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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
 情けない顔で笑う泰雅を見ている中に、泉水の眼に涙が溢れた。安心と心配が一緒になって入り乱れているような、混乱した気持だった。
「良かった、本当に良かった。もし殿の御身に何かあったら、私は本当にどうして良いか判りませぬ」
 大粒の涙が頬をすべり落ちる。
 泰雅はといえば、歓びを露わにした表情で泉水の泣き顔を見つめていた。
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