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Only you……
第6章 明 3
カラン――。
扉を開ければ鈴の音が聞こえた。入り口に取り付けられているものだった。
麻都は既にいた。店の一番奥の席でパソコンを広げ親権に画面を見つめている。オレはぱたぱたとそこへ近づいた。
「ごめん、待った?」
お決まりのセリフを口にすると、麻都はようやく顔を上げオレを見た。そして初めてオレが来たことに気付いたようだ。
「いや、そんなには待ってないよ。あ、これな」
麻都は小さな紙袋をオレの方へと差し出した。そこには携帯電話メーカーの名前が記されており、一目で中身がなんなのかが理解できる。
「あ、ありがとう」
オレは袋から携帯を引っ張り出すとカチカチといじってみた。オレの前の携帯は、ブランド品と一緒に処分していた。それも大分古いものだった。麻都にプレゼントされた携帯を手に、最近のは随分すすんだもんだと感心してみたりした。
「一応俺の番号と、りんと、後は会社の番号なんかを入れといたけど」
そう言いながら麻都はオレの手から携帯を抜き取り操作すると、アドレス帳を開いて見せた。その扱い方がとても手馴れた感じだったので、オレが誉めると「実は俺のと色違いなんだよね」と笑いながら自分の携帯を取り出した。オレの携帯はシルバーで、麻都のは濃いブルーだった。
「飯食った?」
パソコンを閉じながら麻都が尋ねる。オレは左右に首を振った。
「待っててよかった。なんか頼もう。俺もう腹ぺこ」
笑いながらお腹をさする麻都に、オレも笑った。その後、オレはサンドウィッチ、麻都はスパゲッティカルボナーラを頼んで半分ずつ食べた。
食事を手早く済ませると、予定通りペットショップへと向かう。オレの足は弾んでいた。