この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Only you……
第6章 明 3

突然引き剥がされ、オレは麻都を見上げた。

「1、 晩御飯は作ってくれ。2、俺も店の様子を見たい。3、明に携帯を持たせるから、肌身はなさず持ってろ」

立てる指の本数を除々に増やしながら、麻都は言った、そして最後に「守れるか?」と尋ねた。オレは「もちろん!」と拳を握って答えた。

「したら明日の昼休みに見に行くかな。早い方がいいだろう?」

オレは満面の笑みで答えた。


オレの初めての就職――といってもフリーターだけど――が始まるのだ。妙にウキウキしながら残りの今日を過ごした。

ベッドに収まってもオレの熱はなかなか冷めず、麻都に「早く寝ろって」と怒られてしまった。

――明日かぁ……。

明日のことを思えば、のんびり寝てなんかいられなかった。まるで旅行に行く前日の小学生のようだった。 



10時頃に起床するとオレは身支度を整え、今晩の下ごしらえをした。それから麻都が昨晩出してくれた履歴書に詳細を記入する。こんなものを書くのはもちろん生まれて初めてで、オレは多少ならず緊張していた。高鳴る心臓を深呼吸で落ち着かせ、意を決して書いた。

「な、名前……野沢 明。で、住所は……」

麻都が電話番号や住所のメモを残してくれたおかげで、オレはそれらを写すだけで大半を記入し終えることができた。しかし、裏面の志望動機なんかは全く思いつかず空白のままになっていた。学歴の部分も空白。こんなんで大丈夫なんだろうかと不安になってきた。

「な、なんとかなるさ……うん、きっと」

だんだん弱気になる自分をなんとか勇気付けようとするが、余計に落ち込んでくる。

時計を見上げれば、既に11時を過ぎていた。

オレは急いでコートを羽織ると鞄に履歴書を詰め込み麻都との約束の場所へ向かう。街の喫茶店だった。

はぁはぁいいながら走り、やっとのことで喫茶店へ着く。時間は約束の12時ギリギリだった。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ