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Only you……
第5章 麻都 3
ピンポーン――。
インターホンが鳴る。時間は午前の4時。いつの間にか、俺たちは眠っていた。
「はい……」
こんな時間に誰だろうと思いながらも、出る。
そこにいたのは透真だった。
「貴正とりんさん引取りに来ました、東です」
妙に他人行儀だった。
「ばぁちゃんね、死んじゃったんだ」
にこにこしながら、さらっと言った。
俺は危うく聞き流しそうになった。
「えっ?!」
「幸せそうだった。死ぬことって、終わりじゃないんだよ」
そう言って帰っていった。
俺の頭をよぎる言葉。
私の命は残り少ない。
会社を継がなくてはならない。
わが社の伝統は……分かっているな?
明を愛せるか?
恋ではない、
愛だ。
――分かってるよ。
――けど、愛っていわれて生まれるもんじゃないだろ……。