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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第1章 Like A Cat

そのままふらふらとリビングへ戻ってくる。いつもの女性アナウンサーがいつもどおりニュースを読み上げる。
『本日午後一時頃、××市〇〇町の山林で身元不明の少年の遺体が発見されました。少年は十代と思われ、所持品などはなく何らかの事件に巻き込まれたものと思われます。第一発見者の――』
耳を疑った。
近所だ。
十代の少年。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ――。
昨日のヤツの言葉がふと頭を過ぎる。
――猫ってね、自分の死を悟ると飼い主の元を去るんだって。
俺はそれをただ受け流した。幸せのまどろみの中で、特に意味のない独り言だと思って。だって、誰が思うだろうか。
それが別れの挨拶だなんて。
「ちくしょうっ!」
ガツンッ――。
安物の木製テーブルはいとも簡単に真っ二つに割れた。まるで俺とヤツのように。
手の感覚がない。それはテーブルを殴ったからじゃない。
「ちくしょうっ!」
いつもヤツが体育座りをしていたソファを蹴り倒す。派手な音を立ててゴロンと倒れた。
足の感覚がない。それはソファを蹴ったからじゃない。
「ちくしょー――!」
俺の獣のような叫びだけがマンションにこだました。
――END

