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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第1章 Like A Cat

――猫ってね、自分の死を悟ると飼い主の元を去るんだって。
そういって口元を歪めたヤツを、俺はなんとも思わず受け流した。別にそのせりふに深い意味なんてないと思ったからだ。
「ちくしょうっ!」
ガツン――。
俺は力いっぱいリビングのテーブルに拳を叩きつけた。木製で安物のそれは、いとも簡単に割れてしまった。上に乗っていた山盛りの灰皿から、なだれのようにタバコの残骸が崩れ落ちる。手はジンジンとしびれているはずなのに、そもそも拳を叩きつける前から感覚なんてなかった。
感情も感覚も、もう俺には必要ないのかもしれない。
「あぁッ、ん!」
「ココか?」
俺はヤツの平均よりもずっと細い体に肉杭を打ち込んでいた。男とヤるなんてヤツが初めてだったのに、最初から抵抗なんてものは生まれなかった。まるでそうなる運命だったかのように。
ヤツはもうだめと言わんばかりに首を横へ振る。
「はっきり言わなきゃわかんねーだろーがよ。ココがいいのか? それとも別のトコにすっか?」
俺が体勢を直して狙いを変えようとすると、すがるようにヤツは腕を掴んできた。
「だ、だめ……いいの、やぁ、やめないでっ!」
そんなの男素人の俺にだってわかってた。俺の肉棒がある場所をかすったとき、今までどの女からも聞いたことがないほどの嬌声が上がったからだ。それを聞いた瞬間、俺の股間へドッと血液が流れるのを感じた。
「くっそ! んなに締めつけてくんじゃねーよっ」
「そん、なこと言っても、んっ!」
バックから突っ込んでるせいでヤツのブツは見えないが、相当張り詰めてることは容易に想像できる。俺はそっとソコへ手をのばそうとしたが、その手は途中で止められた。
「やあ、すぐイッちゃうからあ……あ、だめ、んっ」
「イケばいいだろ。お前がイッてもぶち込んだままにしてやるよ」
「ち、ちがうの……」
ヤツは今にも涙がこぼれそうなほど潤んだ瞳で俺を振り向いた。その表情に、俺の心臓は一瞬止まったような気がする。
「お尻でっ、イキたいのっ!」

