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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第1章 Like A Cat
――どんな淫乱だよ。

そう思ったが、ヤツを拾った状況が状況だけに口にはできなかった。

「そうかよ! じゃあイッてみせろ」

言いながら俺はヤツの根元を手でキツく締めた。

「やっ! ウソ、むりだよっ、アア……苦しッ、うんっく」

腰を振る速度は上げる、握り締める手は緩めない、そんな状況でイケるわけがない。

ヤツは上半身をガタガタ震わせながら、必死でシーツの海をもがいている。それでもけして、俺の手を振り払おうとはしない。この苦痛さえも、ヤツには快楽に過ぎないのだから。

崩れそうになる腰を反対の手で支えて、俺自身もスパートをかけにいく。

「アアアア! いやあ! ぐるじいぃぃッ」

「だったらどうすんだ?」

「アア! イカせてください! イカせてくださいぃぃ」

狂った悲鳴のような懇願だった。でも俺は握った手を離さない。

「んな適当なおねだりで納得すると思ってんのか、オラ」

「そ、なあッ! キ、モチよくて頭まわないがらああああああ!」

「んなこと知るかよ」

と言いつつ、俺も限界だった。ムスコが今か今かとチャンスを狙ってる。

「ああ、お願いでずぅ……アッ! ご主人様のちんぽで僕のせーえき搾り出してくださいぃっ! な、中にもッ、いっぱい出してくださッ、アアアア――!」

ヤツが必死に言葉をつむぐ途中で、俺はわざと手を緩めてやった。

ヤツは死人が生き返ったかのような勢いで背を仰け反らせ、いつまでも続くかのような悲鳴を上げた。俺の耳がイカれたかと思うほど長い長い悲鳴だ。

それが落ち着くとケツを上げたまま顔面からベッドへ倒れ、痙攣のようにブルブル震えて余韻に浸っていた。


――ほんとはこんなセックス、俺の趣味じゃねーんだけどな。

優しく抱いてもヤツはイケない。苦しめて痛めつけて、時には首を絞めたりなんかもして。でもヤツが浮かべる表情や、事後の甘えた雰囲気は嫌いじゃない。だからセックスはヤツに合わせてやっていた。

俺は杭を引き抜くと、どろりと白く濁った液体が出てきた。

その些細な刺激にもヤツはブルりと震えた。
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