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僕たちはこの方法しか知らない(BL短編集)
第1章 Like A Cat

単純に優しくすると不安そうな顔をするから、あえてちょっと意地悪をする。そうするとヤツは安心した顔で俺にわがままを言ったり、いやいやと拒絶できるようになる。
「ひあ……あ、ふんっ」
声音が変わってきた。そこまでするつもりはなかったのに、ついやり過ぎたようだ。密着したヤツの下肢が芯を持ってきたのを感じる。
スイッチの入ったヤツは止まらない。まあいいかと思いながら、俺はくすぐっていた手でそっとわき腹や背中を撫でる。行き来するたびにヤツは小さく声を漏らしながら震える。さっきまでの抵抗とは違う身のよじり方になった。
「くぅー、ん……」
捨て犬のような喘ぎ声に思わずクスっと笑ってしまった。
「なに、ちょっと意地悪してただけなのに気持ちよくなってきたのかよ」
「はっ、ごめんなさい……。ご主人様、そういうつもりじゃないって言ってたのに……」
申し訳なさそうにヤツは小声で答える。ただでさえ小さいのに、もう一回り小さくなったようにしゅんとしていた。
「まあ……でも、お前のエロい声聞いてたらそういうつもりになってきた」
セックスをしたいというよりは、もっとかわいがりたいという欲求が沸いていた。すぐに寝てしまうのがもったいないような、そんな気分に。
俺はヤツに覆いかぶさると潤んだヤツの瞳をまっすぐに見つめた。
「口、開けて」
ヤツは無言で唇を開く。中からチロチロと見える赤い舌がエロい。
俺はその開けられた口に唾液を垂らした。口の奥から湧き出たものを俺の舌先を通じて零れ落ちていく。
「あッ」
ヤツは一滴も零すまいと舌を伸ばして受け取り、喉を鳴らして飲み込んだ。顔を真っ赤に染めて、嬉しそうに俺を見返してくる。
「ご主人様の唾液……ありがとうございます」
「旨いか」
「はい、甘いです……もっと、ほしいです」
言うとヤツは若干首を傾げて口を開けた。はあはあと息を荒くして舌を伸ばしている。
俺はもう一度ヤツの口へ唾液を垂らす。精液を飲ませるより、こっちの方がずっと興奮した。
「ふ、ぅん」
もう一度唾液を口に含むと、ヤツは味わうように口内に一旦蓄えてからゆっくりと飲み込んだ。まるで唾液が本当に旨いかのように。そして頬を赤らめ瞳を潤ませて下肢を震わせる。

