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乙女☆大作戦
第4章 大
「加奈?久しぶり」
「近くに住んでるのに、会わないですね」
「加奈。こんなに毎日遅いのか?」
「今日はたまたま。月に1度の残業です」
「こんな時間に一人で歩くなよ」
「はいはい」

やけに親しそうなその女性が私に気付くと
「彼女?」
と山崎をからかった。

「違う。同僚」
「ふ~ん」

ニコニコして私の方を覗き込んで
「加奈です。山崎くんとは同じ大学だったんです」
「井上です」
そんな、したくもない自己紹介をして
加奈と名乗った女性がまだ話したそうにしていたら
「ごめん。加奈。コイツ終電」
と山崎が遮った。

さっきから。
加奈、加奈って。

「あ。ごめん。そんな時間ですか。山崎くんまたね」
手を振って歩いて行く女の子の後姿を
女の子が角を曲がるまで見届けた後
「行くぞ」と言って歩き出す。

「元カノ?」

そんなこと聞いたってしょうがないのに。

「まぁ・・・そう。だな」

歯切れの悪い山崎になんだかモヤモヤして。
改札が見えてきたら
私は駆けだして行った。

「今日はありがとう。明日のデート成功させる」
「あぁ」
「ありがとう。山崎」
「あぁ」

それきり、二人に言葉はなかった。

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