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Only you……番外編
第4章 夜の帳は

未だに息の荒い社長――佐伯 貴正――の頬に僕――東 透真――は口付けた。すると貴正は「……んんっ」と声を上げ、閉じていた目を開いた。
「そろそろお仕事できますか?」
「できなーい」
ダダをこねる貴正はかわいい、が、ここで許すと後で困るし、何より調子に乗ってしまう。
「だ・め・で・す! ほら、元気なんでしょ?」
貴正の乱れた服を整え、力ずくで起き上がらせると背中を押した。いやいやではあったが、貴正は自分の机に着いた。
――こうして午後は過ぎてゆく。
――隠してはいるが、実は僕も、今夜を楽しみにしている。
――僕が期待していることが貴正に知られれば、絶対に調子に乗る。
――だから絶対に言わないんだ。
「何にやにやしてんの?」
「ぎゃうっ」
車に向かう途中、突然顔を覗き込まれ、僕は奇声を上げた。ちょっと妄想しすぎたかも……。
車の中では、僕も貴正も無言だった。これからやってくる2人の時間のために体力を温存しているのか。それとも期待に胸を膨らませているのか。さすがに僕でも、貴正の心の中までは分からない。どっちでも嬉しいけど。
貴正の住むマンションは、やや広めの暖かい感じのする部屋だった。白を基調にして貴正の趣味に合わせて整えられた部屋は、僕の心を和ませる。貴正の匂いが溢れている。
「ねぇ、いきなりヤルの?」
着替えをしながら単刀直入にそう尋ねる貴正に、僕は焦った。
――シャワーくらいは浴びた方が……。
「お腹空いちゃったんだよね。何か食ってもいい?」
「いいよ。その間に僕、シャワーいってくる」
そう言うと僕は、僕専用ガウンを持ってバスルームへ向かった。
――何だ。そんなにヤリたいのかと思った。

