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Only you……番外編
第5章 出会い

こうして私は合併に大きく関わっていった。向こうの会社への説明や、様々な指示、今後の計画などだ。その中で私は、今まで知らなかった事実に出会った――。

隆さんには息子がいたのだ。

今の今まで、そんな話は聞いたことが無かったし、そんな人物に出会ったことも無かった。息子の名は東 透真(あずま とうま)。背が高く、頭が小さい、モデルのような体型。私よりは若いだろう。

大きな二重の瞳で、私を睨んでいた。

そこはわが社の廊下で、横を通る社員たちは私たちを避けるようにしていた。そこは社長室の前の廊下で、突然ドアが開き、笑顔の伯父が現れた。

「もう来ていたのか、透真くん」

「と、透真……って、誰……?」

私の疑問など簡単に流され、透真と呼ばれた男は会釈もせずに部屋へと入っていった。私は納得できないまま、その後に続く。

ドアが閉められての第一声――。

「納得できない!!」

机をダンッ! と叩き、透真が叫んだ。鋭い目つきで伯父を見据えている。それでも伯父は笑顔を崩さなかった。

「隆さんの願いだ。君が抵抗するのも無理はないが、受け入れてくれ」

「僕が言いたいのはそういうことじゃない!!」

さらに拳を叩きつける。その拳には鮮やかな血が滲んでいた。

「合併については仕方が無いと思う。確かにわが社にはこのままの状態で生き残る経済力がない」


悔しそうに呟き、そしてさらに続ける。

「しかし! なぜ新社長が僕ではないのだ!!」

そして私を指差し「こんな男」と言った。いくら私だって、年下に――それも今初めて会ったやつに“こんなやつ”呼ばわりされて黙っちゃいれない。しかし、何か言い返そうとしたら伯父に身振りで制された。

「それはだね。君にはこの巨大な社を担うだけの知識と経験がないからだよ」

不意に笑顔を崩し、真剣な目を見せた。それに何も反論できず、透真は「認めないからなっ!」と言い捨てて部屋を出ていった。

私に敵対心剥き出しで、まるで汚いものを見るような目で見て行った。
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