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Only you……番外編
第10章 片割れ

わが社には変な伝統がある。
それは、社長になるためには“一生を誓った相手が必要である”ということ。つまりは愛し合った恋人がいなければ社長にはなれないのだ。そしてこの会社の社長になる資格はゲイであること。男が男の相手を見つけなければならないのだ。伯父の相手は、今は亡き透真の父 隆さんだった。
「どう思っているのだ?」
「どうって……」
そんなことを急に聞かれても、なんと答えていいのか分からない。透真のことはもちろん好いてはいる。が、それが愛だの恋だのに繋がるものなのかは、ほんとのところ分からない。
伯父はふっと笑った。
「分からないか? それなら部屋に戻って確かめるがいい」
楽しそうな伯父が不思議だった。
部屋に戻ると、透真がぼーっと窓の外を見ていた。
私が戻っていることにも気付かずに、ただじっと外をみているのだった。
「透真……」
「た、貴正っ」
慌てたように席に戻ってゆく透真。私はどきどきしていた。
入り口で立ったままでいる私に、透真はゆっくりと視線をあげる。
「貴正も、僕と同じ話をされたの……?」
だんだん顔が赤くなってゆくのを感じる。心臓がドキドキする。
透真が歩み寄ってきた。私は顔を上げることも出来ず、ただ俯いていた。
「たかまさ……」
突然透真に抱きしめられ、驚いて顔を上げると、切なそうに私を見つめる透真の瞳が見えた。私は金縛りにあったように動けなくなってしまった。

