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Only you……番外編
第10章 片割れ

 ガチャ――。

部屋のドアが開き、なんだか複雑そうな顔をした透真が戻ってきた。そんなに深刻な話をしてきたのかと不安になる。

「貴正……社長が呼んでる」

透真は、私を副社長と呼ぶのも忘れて、こっちを見ずにそう告げた。私は無言のまま立ち上がると、透真の顔を下から覗き込んだ。

すると透真は真っ赤な顔をしてすぐにそっぽを向いてしまった。

私には透真の心がわからなかった。

仕方なくその場を後にして、私は社長の元へと向かう。透真に何を話したのかも聞くつもりだ。

 コンコン――。

ノックをすると、すぐに返事帰ってきたので、私は中へと進んだ。

「お話は何ですか?」

単刀直入にそう告げると、伯父は困ったように笑った。

「透真と同じことを言うんだな」

涙が滲むくらいに笑われて、私は何かおかしなことをしたのかと首を傾げた。

「そんなに2人でいる時間が大切か?」

「……は?」

意味が分からなかった。時間が大切って、そんなの今に始まったことじゃない。私にとっては、一分も、一秒も大切だった。だって、次の瞬間には、私は死んでしまうかもしれない。

「私は社長を辞めようと思う」

率直にそう言うと、伯父は私が何か言う暇を与えずに次の言葉を発した。

「だからお前が透真をどう思っているのか聞きたいのだ」

そこで全てを察した。
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