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Only you……番外編
第11章 内心

私は透真に抱きすくめられたまま、金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。抵抗するようなことも出来ず――というよりは、抵抗しようという気が全く起きなかった。今なにが起こっているのかを考えることだけで精一杯で、自分から行動を起こすようなことは出来なかった。

「と、う、ま……?」

かろうじて声を上げれば、透真の切なそうな瞳が視界に入った。その瞳には、確かに私が映っている。

頬が熱かった。鼓動が除々にスピードを上げ、血液がどんどん流れていく。まるで全身が心臓になってしまったかのようだ。

「ごめん、こんなことして」

私の肩に顔をうずめて透真は言った。

私はどうしていいか分からず、ただ言葉を待っていた。

「でも、分かって欲しいんだ。僕は男だけど……その……」


私について、透真が知らないことがある。


「えーと、その……」


私が同性愛者であること。


「あー、えーっ」


 そうじゃなくてはこの社の副社長にはなれないし。


「もう言うぞ! 言うからな! 一回しか言わないから、よーく聞け!」


透真は大きく息を吸い込むと、腕にぎゅっと力を込めた。



「僕は貴正が好きだ」



私はそっと、透真の背に腕を回した。

透真が驚いて私を見下ろしたが、気付かない振りをして胸に縋っていた。そこからは透真の心臓の音がよく聞こえた。

「透真、良いこと教えようか?」

透真は驚いたまま固まっていた。

「私は同性愛者なんだよ」

伯父に引き取られるまでは、ずっと隠しつづけていた事実。今までは透真に軽蔑されるのが怖くて口に出来なかった。自分自身にも隠してしていた。

――私は透真が好きです。

「そ、れって……」

私の遠まわしな告白に困惑する透真。私はぷぷっと笑った。

透真の顔が真っ赤に染まる。

そして、きっと私の顔も――。
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