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Only you……番外編
第12章 最悪だったあの日の午後

私はその電話が来た時、絶望した。



「良かったじゃない! 就職決まって」

「……」

喜ぶ母を軽く無視して家を出た。今日はたまたま帰ってきていただけで、普段はマンションで一人暮らしをしているので、そこに帰るだけだった。

とにかく私は、最悪な気分で実家を出たのだった。

車は持っていなかった。免許は取っているのだが、車を買い、さらにその後の維持費を払うほどのお金がないからだ。不自由ではあるが、そんなに困ってはいない。それでもやっぱり、車が欲しかった。

カツカツとハイヒールのかかとを鳴らしながら私は駅へと向かった。そこから電車に乗って、一度乗り換え、そしてようやく私が住む場所へと来る。実家から離れた場所にしたのは、母と離れたかったからだった。

はっきり言って、私は母を好きじゃない。 

どちらかと言えば、嫌いだった。

そんなことを今更考えているのは、今日かかってきた一本の電話のせいだった。その電話は私がこの間面接を受けた会社の1つからの、採用の内定の電話だった。

母が嫌がる私を無理やりその会社の面接試験に行かせ、それが何と受かってしまったというのだ。最も受かりたくなかった――というか、気分はもう最悪。

その会社とは、母が昔勤めていたところで、社名を“佐伯自動車”という。ついこの間までは小さな会社だったのだが、最近では日本国内にとどまらず、世界でも名前を聞くようになったとか。急成長を遂げた会社だった。

それだけなら、私は何の文句もなく、ただ採用の報告に喜び勇んで実家に帰っていただろう。 私が気に入らないのはそこではない。

その会社は変わっていて――というよりも、可笑しいので、社長は同性愛者でなくてはならないという決まりがあるらしい。もちろん現社長の佐伯 貴正(さえき たかまさ)社長もゲイだった。そして、一生を共に過ごす相手を見つけなくては社長になれないという……。あまりにも奇怪すぎる。

そんな狂った会社に、母は私を薦めるのだ。最悪だ。大体同性愛とか自体が可笑しい。なぜわざわざ同性などに恋愛感情を抱くのか。

私はイライラしながら帰宅し、素早く着替えると仕方無しにその会社へと向かう。もういい加減なにか職につかなくてはマズイ。
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