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Only you……番外編
第15章 寂しげな横顔

麻都さんは本当に良く笑うと思う。四六時中にこにこしていて、その笑顔が絶えることはないのではないだろうか。しかしその笑顔も、心の底から楽しそうなものではなかった。そんな表情はみたことがなかった。いつもどこかに寂しさを抱えているような。

私にはその理由は分からなかった。もしかしたら大学生でありながら副社長であるという現状が関わっているのかもしれない。――いや、それが関わっていることは大いにありうるだろう。

麻都さんの無理した笑顔を見ていると、私の方の胸が痛んだ。

「あ、そこを右」

麻都さんはタクシーの運転手に細かい指示を出していた。

この辺りは細かい路地が多く、なれていても油断すれば迷ってしまいそうだった。現に私もあまりこの辺は通らないようにしている。

しかし、指示を出している様子を見れば、麻都さんはここに随分と詳しいようだ。

「そこを真っ直ぐ――で左」

そんな風にしていると、ようやく目的地へと辿り着く。

私は降りた先がぎらぎらしたお城のようなところではないことを祈った。

「何してんの? ほら行くぞ」

ドキドキしながらゆっくりと目を開ける。

そこは私が考えていたものとは大きく異なっていた。

「え?」

「……? 何かご不満でも?」

そこは小さな居酒屋だった。

店のなかは焼き鳥臭くて、空っぽの胃袋を刺激する。実を言えば、私はお酒がかなり好きだったりする。しかし飲んだ後の記憶がいつもないので他人と飲みに出かけることは殆どない。――というか皆無だった。

――どうしよう……。

お酒を目の前にして、我慢できるはずはない。しかし飲んでしまえば何が起きるか分からない。自制なんてことは到底出来ない。
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